2005年 F1 カナダGP
北米ラウンドは毎回深夜というか明け方近くまで起きていないとリアルタイムで見れない時間帯の為、毎年辛い思いをして見ております(笑)。最近ではネットのアチコチで結果の書き込みがあるため(ウチもそうですが)、ビデオにとって翌日見ようと油断していると思わず結果を知ってしまうことに陥る危険性が高いため、昔から用事が無い限りリアルタイムで見るように心がけております。
さて今回カナダGPは前戦の雪辱を晴らすべくライコネンが優勝しました。サバイバルレースとなりルノー2台が全滅した為アロンソとのポイント差も一気に12pt差まで詰まる結果となりました。マクラーレンの速さはレースごとに高まってきております。今後逃げるルノー、追いかけるマクラーレンの構図が一段と強まる感じですね。しかしモントーヤは不運でした。セーフティーカー(以下SC)のタイミングでピットに入り損ね、挙句の果てピットレーンの信号無視によるブラックフラッグ・・。今回は勝てた可能性が高いだけにチームも本人も悔やんでも悔やみきれないでしょう(SCについては後述)。
ルノーは今回相当ドタバタしていた感じですね。ピット無線からもアロンソの苛立ちが感じられましたし、結果ミスを招いてリタイアという最悪の結果に終わりました。フィジケラも本当に運が無い・・・マシントラブルで勝てる可能性のあるレースをまた落としてしまいましたね。本人も以前「あとちょっとの運が欲しい」と切実に話していたみたいですが、フィジケラは本当速いんですが昔から本当にツイていないとつくづく思います(チーム選択もそうですし)・・。
BARにとってはまさに最悪な展開となりました。ポールを取ったにも関わらずスタートで出遅れ、軽タンの効果を発揮できぬままレースを強いられてしまい、それでも生き残れば表彰台は十分可能(バトン、琢磨共)だったのですが、バトンはミハエルのプレッシャーを感じたのか、本当に珍しいミスによるクラッシュ。ちょっと目を疑うシーンでした・・。琢磨もスタート直後CSでも言われなかったですが、明らかにジャックのノーズが琢磨のリアエンドに突っ込んでいた(2コーナー入り口)ので、それが原因によるバランス悪化、そしてその接触での因果関係は不明ですがギアボックストラブルによる戦線離脱。来週はまた予選で不利だとガッカリしていたのですが、何とその間30分以内でリアエンド修復、ギアボックス交換という素晴らしい作業を行い、琢磨をコースに復帰させました。結果ブレーキトラブルによるスピン→リタイアとなってしまいましたが予選出走順を5番手まで上げる形となり、この点に関しては喜ばしい結果となりましたね。
次のアメリカGPは昨年琢磨の思い出のレースとなりましたが、今回は厳しい展開になるかもしれないですね。しかしレースは何が起こるかわかりません。今回のフェラーリのようにミハエルはともかくバリチェロはピットスタート(しかも燃料追加してから出走)の完全な最後尾スタートから3位フィニッシュとなったので、走り続けていればどうなるかは分かりません。諦めないで最後まで頑張って欲しいです。当然のことながらマシンが最後まで持つかどうかも非常に重要です。出走順も5番手なのでまだ可能性はゼロではありませんから。深夜3時スタートという凄まじい遅さに私が起きていられる可能性の方が低いかもしれません(笑)。
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さて今回のレースで気になる点が2つありました。一つはブレーキ、もう一つはSCです。
ブレーキに関しては、もう長い間13インチホイールでレギュレーションの変更が無い為このサイズでは限界に近づいてきている感があります。私達の一般的な乗用車でも16インチ、17インチが当たり前になってきており、そのサイズに合わせたブレーキローター径を採用しているのはご存知かと思います。しかしF1はもう何十年も13インチホイールのまま(タイヤ幅は変わってますが)今まで来ておりますので、当たり前ですがそのサイズ(13インチ)のブレーキローターしか装着できません。勿論ブレーキ技術や素材の進化、その他色々な要因で性能は上がっていると思いますがマシンそのものの速さの進化にブレーキが追いつけない状況になってきていると感じます。過去レースでもブレーキにキツイというサーキット、シチュエーションは多々ありましたが、今年ほどブレーキに関するトラブルが多く見られることは無かったと思います。
しかしCSでも解説者が言ってましたが、この点を改善するのは非常に難しいと思われます。まずホイール径を大きく(14インチ以上)にすることでブレーキを強化出来ますがそれを安全マージンに持っていくことはありえないでしょう。何故ならチームは戦う為にサーキットにやってきているわけですから。強化されたブレーキを限界まで使うように走らせる事でしょう。そうなると結局今と同じ事になるわけですから。今回の琢磨はともかく、トゥルーリのブレーキトラブルは非常に危険でした。場所が最終コーナーで無かったとしたら(あそこだけランオフエリアが広かった)考えるとゾッとします・・・。
SC導入については過去からタイヤ内圧の低下による危険性が唱えられています。私も同様に非常に危険な要因を含んでいると同時に、レースそのものを非常につまらなくしていると思えます。94年のイモラ。スタート直後のクラッシュによりSC導入されましたがあの時も同じくタイヤ内圧低下したセナのマシンが非常に不安定だったと後日ミハエルが語っているように内圧低下すると車高も変わってしまう為、バランスがかなり変わると思われます。またタイヤ温度の低下によるグリップ不足、特に今はタイヤの温度が上がりにくい構造のようで、再スタート直後は非常に不安定なマシンを操らなければいけません。FIA的にはレース中断による放送時間延長の弊害を避ける為導入したと思われますが、一度レースを止めるべきだと思います。
あと、SCが入るタイミングによるドライバーごとの損得が余りにも大きすぎます。今回一番あおりを受けたのがモントーヤでしょう。あのまま走り続けていたら勝利していた可能性が高かっただけに、SCでの運の要素で結果が左右されるのではドライバーもチームもたまったもんではないと思います。
やはり赤旗中断が良いです。タイムに関してはSC導入前周のタイム差を使っての2ヒート制ですかね。例えばストレート端に1列に並ばせておき、1台づつスタートさせて行く(先頭車スタート後、中断前のタイム差経過後2番手以降を随時スタートさせるなど)とかが不公平が無くてよさそうですが。
危うい匂いの善し悪しではありますが....
今シーズンのオフに、何処かで浜島さんが「ラバーが路面に着くのを想定してタイヤウェアを設計するのは(予想した天候の変化に対応できないなど)リスクが高い(からBSはそれをしない)。」的なコメントを出していた様に思いますが、今年のBSの苦戦は、保有する有力チーム数格差及び、そのテスト総数の格差によるものだけではなく、多少日本贔屓も入ってるかもしれませんが、レースに参戦する以上「安全性を確保するのが前提」と言うタイヤメーカーとしての自ら定めた社会的責任と競争との妥協点を何処に置くかの葛藤の現れでもあるのではないか、とも見ています。きっと現場はそんな悠長なものではなく最先端の高分子工学の世界での「一体足りないものはなんなのか」と言うホントに開発戦争状態なのかもしれないのでしょうけれども。
今回のラルフの事故がどういう状況で起こったモノなのかは詳しく知る由もないのですが、先日のニュルブルクリンクでのキミに降りかかったフラットスポットに起因するサスペンショントラブルと言い、タイヤではありませんが、ジル・ビルヌーヴサーキットで起こったツゥルーリのディスク破壊の件と言い、エンタと健全な競技性の確保の狭間で「誰も達していない世界を追求するF1と言う世界」を観ていたりもします(^^ゞ。
どうも投稿ありがとうございます。
昨日のレース、まさに月さんが仮定でおっしゃられていた両メーカーの安全性の差が露出した史上最悪のレース(レースといえるのかどうか・・)となってしまいました・・。もちろん安全性を無視した結果と言う風には思いたくないですが、コレに関しては投稿にて詳しく書きたいと思っております。