2011年 F1 第5戦 スペインGP
もう今週末がモナコという事で、記事を書かなければ・・という感じです(笑)。
さて、今回のスペインGP。非常に興味深いレースでした。KERS+DRSの影響で、毎年退屈だったカタロニアサーキットでのレースが面白くなったこと、それでも他のコースに比べてオーバーテイクは少ないと感じたこと、そしてレッドブルとマクラーレンの力関係といいましょうか。
予選では圧倒的な差をつけてフロントロウを独占したレッドブル勢。あまりにも差がありすぎて、別カテゴリのマシンが走っているような感覚さえ受けました。決勝では後続に圧倒的差をつけて3~4位以下辺りを周回遅れにすらするのでは?と88年のマクラーレンホンダ時代の再来を思わせるようなレース展開を予想していたのですが、こんなレース展開が待っているとは予想だにしませんでした。
マクラーレンのレースペースはかなり良い感じであることは、これまでのレースでも見てきましたが、スペインではレッドブルと同等、もしくは凌いでいたかもしれません。これは一体どういう事なんでしょうね。予選で得た約1秒近いアドバンテージを決勝ではなぜ帳消しにするくらいに出来るのか・・。
興味深い考察としては、まず1つがタイヤの影響が差を無くしていると。レッドブルマシンの強大なダウンフォース特性がタイヤを激しく痛めつけるので、予選時のようにタイヤ劣化を考えないマシン性能を最大限に使った走りが出来ない(タイヤが早く終わってしまう)という推測。
2つ目に、DRS部の性能差。レッドブルはリアウイングの性能が優れていてDRSを使うとより良くレスダウンフォース化出来るという推測。予選ではDRSの使用は制限が無いのでどこでも使うことが出来るけども、決勝では使用範囲の制限があるので、そのアドバンテージが少なくなる。
3つ目は排気吹付ディフューザーのコントロールといいましょうか。アクセルオフでも排気を出す(ダウンフォースが得られる)ためのコントロールを行うので、通常であればアクセルオフ=燃料カットのはずがずっと出続けるので燃費効率が悪くなる。予選では全く関係ないが決勝では燃費の影響で激しく燃料消費が出来ない為に、アクセルオフで排気をバンバン出せないという噂。ただこれは、ダウンフォースの量がコーナー進入で増減幅が大きくなると思うので、それほど大きな差は生んでないような気がします(大幅な調整はしていないかと)。
そして最後にKERS。決勝でのオンボードを見ていてもヴェッテルは使っていない時が多かったですし、やはりまだKERSの信頼度(どうもクーリングの問題らしいです)が低いのか、あまり使えないみたいです。
この4つが全て絡んでいるのか1部絡んでいるのか分かりませんが、確かにこういう推測が当たっているとすれば、決勝と予選でのパフォーマンス差が生まれるというのが理解できます。いずれにしても今回ヴェッテルが勝ったという事で、伝統的な「PPが勝つ」というジンクスが珍しく破られたレースとなりました。しかし、レッドブルとマクラーレン(というよりヴェッテルとハミルトンですが)が別次元過ぎて5位のアロンソすら周回遅れでしたから。序盤ずっとトップを走っていたアロンソにしてみれば辛い現実ですよね。ハードコンパウンドのタイヤがマシンに全くあっていなかったのは明白ですし、レースペース改善するためにはやらなければいけない部分がまだまだありそうです。
そして可夢偉。またしてもパンクで・・。最後尾まで落ちたものの結局はペレスの直ぐ後ろまで追い上げての10位。開幕戦の失格を除いて、全戦ポイントをあげているのはごく一部のドライバーだけじゃないでしょうか。最高の安定感を示してますが、パンクが無ければ前戦も今回ももっと良い位置でフィニッシュしてたでしょうし本当にツイてないですよね;;。
結果は何とか出しているので、あとは恐らく年に何度もないであろうビッグチャンスを確実にモノにすることと、あとはやっぱり・・・日本企業からの強力なサポートですね。日本国内は大変な時期ですしかなり難しい事かと思いますが、勝負の年である2011年、そして2012年への飛躍のためにも可夢偉には頑張ってもらいたいです。